マウスピース矯正って何？仕組みから治療の流れまで歯科医が詳しく解説

「歯並びをきれいにしたいけれど、金属の装置が目立つのは避けたい」「仕事や学校で人と話す機会が多いから、矯正していることを気づかれたくない」そんなお悩みをお持ちの方に、近年人気が高まっているのがマウスピース矯正です。

透明なマウスピースを使った矯正治療は、見た目を気にせず歯並びを整えられる画期的な方法として、多くの患者さんに選ばれています。しかし、「本当に効果があるの？」「どんな仕組みで歯が動くの？」「費用はどれくらいかかるの？」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、中央区の歯医者、月島キャピタルゲート歯科が、マウスピース矯正の基本的な仕組みから実際の治療の流れ、費用の目安、成功させるためのポイントまで、歯科医の視点からわかりやすく解説します。矯正治療を検討されている方が、安心して一歩を踏み出せるようお手伝いできれば幸いです。

1. マウスピース矯正とは？透明な装置で目立たず歯並びを整える治療法

マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを使って歯並びを整える矯正治療です。従来のワイヤーやブラケットを使った矯正とは異なり、取り外しができて目立ちにくいことが最大の特徴です。

1.1. 透明なマウスピースを段階的に交換して歯を動かす仕組み

マウスピース矯正では、治療開始から完了までの歯の動きを計算して、複数枚のマウスピースを作製します。1枚のマウスピースは約1週間装着し、段階的に新しいマウスピースに交換していきます。

それぞれのマウスピースは、現在の歯の位置から理想的な位置へ、ほんの少しだけ歯を動かすように設計されています。この小さな移動を繰り返すことで、段階的に歯並びが整っていく仕組みです。治療期間は症例により異なりますが、軽度なケースで20枚程度、複雑なケースでは50枚以上のマウスピースを順番に使用していきます。1セットのマウスピースを交換し終わったあと、引き続き治療が必要な場合や軽微な調整を行う場合などは、追加でマウスピースを作成します。

1.2. ワイヤー矯正との違い：見た目と取り外しの自由度

マウスピース矯正とワイヤー矯正には、いくつかの大きな違いがあります。患者さんのライフスタイルや希望に合わせて選択できるよう、主な違いを表にまとめました。

項目	マウスピース矯正	ワイヤー矯正
見た目	透明で目立ちにくい	装置が見える（裏側は除く）
取り外し	食事・歯磨き時に取り外し可能	固定式で取り外し不可
食事制限	ほとんどなし	硬い食べ物・詰まりやすい繊維質のものなどは注意が必要
歯磨き	普段通りできる	装置の周りを丁寧に磨く必要あり
通院頻度	1〜3ヶ月に1回程度	3〜4週間に1回程度
痛み	比較的少ない	調整後に痛みを感じやすい、装置が口の中に当たる痛みがある場合も

見た目の自然さと日常生活への影響の少なさが、マウスピース矯正の大きなメリットといえます。

1.3. マウスピース矯正に向いている歯並びの状態

マウスピース矯正は多くの症例に対応できますが、特に向いているのは以下のような歯並びの状態です。

• 軽度から中程度の歯のガタガタ
• 前歯のすき間
• 軽度から中程度の出っ歯
• 過去の矯正治療後の後戻り
• 深い噛み合わせ
• 奥歯を噛んだときに前歯が閉じない

一方で、以下のような症例では、マウスピース矯正が適さない場合があります。

• 骨格的な問題がある場合
• 複数本の抜歯を伴う、大幅な歯の移動が必要な症例
• 歯周病が進行していて歯を支える骨が弱っている場合
• 重度の噛み合わせのズレ

月島キャピタルゲート歯科では、患者さん一人ひとりの歯並びの状態を丁寧に診査し、マウスピース矯正が適しているかどうかを正直にお伝えした上で、最適な治療方法をご提案いたします。

2. マウスピース矯正の仕組み：どうやって歯が動くのか

「柔らかいプラスチックで本当に歯が動くの？」と不思議に思われる方も多いでしょう。マウスピース矯正には、科学的に証明された歯の移動メカニズムがあります。

2.1. 弱い力で少しずつ歯を移動させる科学的メカニズム

歯は顎の骨の中に埋まっていますが、歯と骨の間には歯根膜という薄い組織があります。マウスピースが歯に適切な力を加えると、この歯根膜が圧迫される側では骨が吸収され、引っ張られる側では新しい骨が作られます。

弱く持続的な力をかけることで、歯は少しずつ安全に移動していきます。この生物学的な反応を利用して、マウスピース矯正では理想的な位置へ歯を動かしているのです。

2.2. 3Dシミュレーションで治療後の歯並びを事前に確認

マウスピース矯正の大きな魅力の一つが、治療開始前に完成予定の歯並びを見られることです。お口の中を3Dスキャナーで撮影し、コンピューター上で治療計画を立てます。

このシミュレーションでは、現在の歯並びから治療完了までの歯の動きを動画で確認できます。「どんな歯並びになるのか」のイメージを見ることができるので、ゴールを目指して治療を始められます。また、治療期間の目安も事前にお伝えできるため、ライフイベントに合わせた計画も立てやすくなります。

2.3. 一つのマウスピースで動く歯の移動量

1枚のマウスピースで歯が動く距離は、約0.25ミリメートルです。これはとても小さな動きに思えるかもしれませんが、無理なく安全に歯を動かすために最適な移動量となっています。

急激に大きく動かそうとすると、歯や歯ぐきに負担がかかり、痛みが強くなったり、歯の根っこにダメージを与えたりする可能性があります。少しずつ確実に動かすことが、美しく健康的な歯並びを作る秘訣なのです。

3. マウスピース矯正のメリット：日常生活への影響が少ない治療

マウスピース矯正が多くの患者さんに選ばれているのは、生活の質を保ちながら治療できるからです。具体的なメリットを見ていきましょう。

3.1. 透明で目立たないから人前でも気にならない

マウスピースは医療用の透明なプラスチックで作られているため、装着していてもほとんど気づかれません。接客業や営業職など、人と話す機会が多い方でも、仕事中の見た目を気にせず矯正治療を進められます。

写真撮影の予定がある時でも、マウスピースをつけたままで自然な笑顔を見せられます。結婚式やプレゼンテーションなど特別な場面では、一時的に外すこともできるので柔軟に対応できます。

3.2. 食事や歯磨きの時は取り外せて衛生的

ワイヤー矯正では装置が固定されているため、食事の際に食べ物が挟まったり、歯磨きが難しくなったりします。一方、マウスピース矯正なら食事の前にマウスピースを外せるので、普段通りの食事を楽しめます。

歯磨きの時も外して、いつも通りのブラッシングができます。お口の中を清潔に保ちやすいため、虫歯や歯周病のリスクを抑えながら矯正治療を進められます。マウスピース自体も取り外して洗浄できるので、衛生的に使用できます。

3.3. 金属アレルギーの心配がない

マウスピースはプラスチック製のため、金属を一切使用していません。金属アレルギーをお持ちの方でも、安心して矯正治療を受けられます。

また、金属の装置のように、口の中の粘膜を傷つける心配もありません。スポーツも安心して行うことができます。お口に優しい素材で作られているため、快適に治療期間を過ごせます。

3.4. 通院回数が比較的少なく忙しい方にも適している

ワイヤー矯正では、3週間から4週間に1回の頻度で調整のために通院が必要です。月島キャピタルゲート歯科でのマウスピース矯正では、1ヶ月から3ヶ月に1回程度の通院で治療を進められます。ライフスタイルやお住まいなどにあわせて、治療がスムーズに進みご負担も少なく済む最適なペースをご提案しています。

マウスピースはあらかじめまとめて作製するため、ご自宅で計画通りに交換していただければ、通院の負担を減らせます。仕事や学業で忙しい方、遠方にお住まいの方にも続けやすい治療法といえます。

3.5. 痛みが比較的少なく快適に過ごせる

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べて痛みが少ないのも特徴です。新しいマウスピースに交換した直後の1日から3日程度は、歯が締め付けられるような違和感や軽い痛みを感じることがありますが、多くの患者さんは日常生活に支障がない程度の軽いものです。

痛みの感じ方には個人差がありますが、ワイヤー矯正のように調整後に食事ができないほどの痛みを感じることは少なく、徐々に慣れていきます。マウスピースの交換を就寝前に行うことで、装着時間を確保でき、睡眠中に違和感が落ち着きやすいためおすすめしています。

4. マウスピース矯正の費用：治療にかかる金額の目安

矯正治療を検討する際に、多くの患者さんが気になるのが費用です。マウスピース矯正で必要な費用について、わかりやすくご説明します。

4.1. 全体矯正の費用相場

歯全体をしっかり整える全体矯正の場合、一般的な費用相場は以下の通りです。

• マウスピース矯正（全体）：約70万円〜100万円程度
• ワイヤー矯正（表側）：約70万円〜100万円程度
• ワイヤー矯正（裏側）：約100万円〜150万円程度

マウスピース矯正の費用は、使用するシステムや治療期間、歯並びの状態によって変動します。また、自費診療のため、歯科医院によっても費用が異なります。複雑な症例ほど、必要なマウスピースの枚数が増えるため、費用も高くなる傾向があります。

4.2. 部分矯正の費用相場

前歯など気になる部分だけを整える部分矯正の場合は、より手頃な費用で治療できる傾向があります。

月島キャピタルゲート歯科では、見た目だけでなく噛み合わせも改善し、長くご自身の歯を健康な状態で残し美味しく食事を摂っていただくことを目指しているため、全体矯正のみを行っています。

4.3. 費用に含まれる内容と追加費用

一般的に、矯正治療の費用には以下のようなものがあります。

• 初回カウンセリング
• 精密検査・診断料
• マウスピース製作費
• 追加のマウスピース製作費
• 治療期間中の調整料
• 保定装置（リテーナー）

歯科医院によって料金体系は異なります。また、矯正のプランによっても費用に含まれる内容が異なる場合がありますので、注意しましょう。調整料が毎回かかる場合や、治療計画の変更時に追加費用が発生する場合もあるため、カウンセリング時に詳しくご確認ください。

4.4. 支払い方法と医療費控除

多くの歯科医院では、以下のような支払い方法に対応しています。

• 現金一括払い
• クレジットカード払い
• デンタルローン（分割払い）

また、矯正治療は医療費控除の対象になる場合があります。噛み合わせの改善など、機能的な問題の治療が目的の場合は控除を受けられる可能性があります。確定申告時に領収書が必要になるため、大切に保管してください。

月島キャピタルゲート歯科の矯正治療は、機能面の改善も考慮した治療のため、基本的に医療費控除の対象となります。患者さんの負担を軽減できるよう、お支払い方法についても各種ご用意しています。控除の仕組みや費用面で不安がある方も、まずはお気軽にご相談ください。

5. マウスピース矯正の治療の流れ：初診から完了まで

実際にマウスピース矯正を始める場合、どのような流れで進んでいくのかをご説明します。安心して治療を受けていただけるよう、各ステップを丁寧に進めていきます。

5.1. 初回カウンセリングで歯並びの悩みと希望を伺います

まずは無料カウンセリングにお越しください。患者さんの歯並びのお悩みや、どんな歯並びになりたいかという希望を詳しくお聞きします。

この時に、マウスピース矯正の仕組みや期間、費用についても詳しくご説明します。疑問や不安に思うことは何でもお聞きください。治療を始めるかどうかは、カウンセリング後にゆっくりご検討いただけます。

5.2. 精密検査と3Dスキャンで治療計画を作成

治療を始めることが決まったら、精密検査を行います。レントゲン（CT）撮影、口腔内・お顔の写真撮影、3Dスキャナーでお口の中を詳しく記録します。

従来の粘土のような型取りではなく、デジタル口腔内スキャナーを使用するため、苦しさなどはなく短時間でお口の記録を取ることができます。

これらのデータをもとに、コンピューター上で治療計画を作成します。歯がどのように動いていくか、最終的にどんな歯並びになるかをシミュレーション画像でご確認いただきます。治療期間や必要なマウスピースの枚数、費用の詳細も、この時点で具体的にお伝えできます。

5.3. マウスピース製作と装着開始：使い方の丁寧な説明

治療計画に同意いただけたら、マウスピースを製作します。通常、2週間から3週間程度で完成します。

マウスピースが当院に届いたら、装着の練習をします。正しい付け方や外し方、お手入れの方法、保管の仕方など、日常生活での使い方を詳しくご説明します。最初は慣れるまで少し時間がかかりますが、数日で自然に扱えるようになります。

5.4. 定期チェックで進行状況を確認しながら進めます

治療が始まったら、1ヶ月から3ヶ月に1回のペースで通院していただきます。必要があればアタッチメントの装着やすき間を作る処置(IPR)を行います。診察では、マウスピースがきちんと合っているか、歯が計画通りに動いているかをチェックします。同時に、虫歯のチェックや歯周病予防のためのクリーニングも行います。

何か気になることや困っていることがあれば、遠慮なくお話しください。定期検診の合間の期間でも、気になることがある場合はお電話やLINEでお気軽にご相談ください。月島キャピタルゲート歯科では、患者さんが安心して治療を続けられるよう、丁寧にサポートいたします。

5.5. 治療完了後の保定期間で美しい歯並びをキープ

計画通りに歯が動き、理想的な位置に並んだら、矯正治療は完了です。しかし、ここで終わりではありません。

動かした歯は元の位置に戻ろうとする性質があるため、保定装置を使って歯並びを安定させる期間が必要です。保定装置の装着指示を守らなかった場合、ほぼ100%後戻りが起こるというデータがあります。せっかく美しく整った歯並びを維持するために歯科医師の指示を守りましょう。保定期間の目安は、お口の中の状態によって異なりますが、およそ歯を動かした期間と同程度です。

6. マウスピース矯正を成功させるために大切なこと

マウスピース矯正の効果を最大限に引き出すには、患者さんご自身の協力が欠かせません。成功のために守っていただきたいポイントをご紹介します。

6.1. 食事・歯磨きの時間を除く1日24時間の装着時間を守る

マウスピース矯正で最も重要なのが、装着時間です。食事・歯磨きの時間を除く、1日24時間マウスピースを装着することが治療成功の鍵となります。

食事と歯磨きの時以外は、できるだけ長く装着するように心がけてください。装着時間が短いと、歯が計画通りに動かず、治療期間が延びてしまう原因になります。スマートフォンのアラーム機能などを使って、装着時間を管理するのもおすすめです。

6.2. マウスピースの正しいお手入れ方法

マウスピースを清潔に保つことも大切です。外した時は、水またはぬるま湯で優しく洗ってください。専用の洗浄剤で汚れを落としたあと、ブラシで軽くこすると、より清潔に保てます。

熱いお湯を使うと変形する恐れがあるため、必ず冷たい水かぬるま湯を使用してください。保管する時は、誤って破棄してしまうことを防ぐためにも、専用のケースに入れて乾燥させましょう。

6.3. 定期的な通院で歯科医のチェックを受ける

自己判断で通院を先延ばしにせず、予定通りの定期チェックを受けることが重要です。万が一、歯が計画通りに動いていない場合でも、早期に発見して対処できます。

また、マウスピースが合わなくなったり、破損したりした場合は、すぐにご相談ください。定期的なチェックと適切なコミュニケーションが、スムーズな治療につながります。

7. まとめ

マウスピース矯正は、透明な装置を使って目立たずに歯並びを整えられる、現代のライフスタイルに合った矯正治療法です。取り外しができて衛生的に保ちやすく、日常生活への影響を抑えながら、理想的な歯並びを目指せます。

治療の仕組みは科学的に証明されており、3Dシミュレーションで治療後の歯並びを事前に確認できる安心感もあります。費用は症例により異なりますが、全体矯正で約70万円から100万円程度が目安です。

新しいマウスピースに交換した直後は軽い違和感や痛みを感じることもありますが、多くの患者さんは数日で慣れていきます。ただし、食事・歯磨きの時間を除く1日24時間の装着時間を守ることや、定期的な通院が成功のカギとなります。

重度の骨格的問題や進行した歯周病がある場合など、マウスピース矯正が適さない症例もありますので、まずは歯科医による診査が必要です。

月島キャピタルゲート歯科では、患者さん一人ひとりの歯並びの状態やライフスタイルに合わせた治療計画をご提案しています。まずはお気軽に無料カウンセリングにお越しください。美しい歯並びで、もっと自信に満ちた笑顔を手に入れましょう。